教員紹介

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教授横田 宏治Koji Yokota

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現在の専門分野

マクロ経済学、サーチ理論、動学最適化の数理

研究・教育テーマ
凸型採用費用関数を伴う経済に関する分析
┣ 有効需要原理と労働市場摩擦
┣ ゴーイングコンサーン(永続的存在)としての企業分析
┣ 企業の最適解雇政策と労働の退蔵
┣ 先払い(advance)のファイナンスと負債・貨幣
┣ サーチ活動を要しない自己雇用が全要素生産性と失業に与える影響
┗ 最大値原理における特異制御問題(基礎数学)

(現在進行中の仕事)
- "Optimal employment in frictional business cycles and intertemporal discontinuity of demand duals and production" (2018) School of Economics, Meisei University Discussion Paper 42.(摩擦を伴う景気循環における最適雇用と,需要共役変数および生産の時間不連続性)
- "Wages in frictional business cycles" revising.(摩擦を伴う景気循環における賃金)
- "Empirical discontinuities at junction times of the firing phase" revising.(解雇局面接合時における経験的不連続性)

横田 宏治

主な研究・教育内容

 労働市場に摩擦が存在する場合のマクロ経済の研究を行っている。労働市場に摩擦が存在するとは、労働者や企業が多様であるために、相手とのマッチングにサーチ活動を行う必要があるような状況を指し、とくに賃金の決定は、完全競争下のものとは異なるものになる。その中で、調整費用関数としての役割を果たす新規雇用費用関数が凸型である場合の経済に関心があり、分析手法を含め関連した研究を行っている。このような経済において,生産物が十分に差別化されていれば,有効需要原理が導き出され,非効率的均衡が成立する.
 景気は気から,という言い方がされることがある.将来予想の楽観・悲観によって,景気の良し悪しは決まるものだという見解である.この見解が正しいかどうかについて,経済学からの学問的な回答には,賛否両論がともに存在するが,直接的には否定的な結論を意味するものが多い.すなわち,先進国においては,景気は,技術進歩の度合の変動(またはその予測)によってもたらされるのであって,一般的な楽観・悲観は関係ないとするものである.
 一方で,最初に述べた研究においては,差別化の難しい農林水産業が主体の経済では,景気は気からとする見解は,成立しないが,十分に差別化された工業製品が主体となる経済においては,成立するという結論が導かれる.大胆に要約すれば,製品・労働者ともに多様性があれば,この見解は正当であることになる.それによれば,とくに,経済成長の大きな要因である全要素生産性の成長およびその変動は,純粋な技術の変動要因だけではなく,有効需要の変動に起因する見せかけの部分を含んでいるかもしれない.

(これから経済を学ぶ方へ)
 一般に,経済学者の話は奥歯にものが挟まっているようで,限定修辞を交えずに断言してほしいと思う方もいるかもしれません.しかし,経済には複合的な要因が同時に作用するので,A→Bということが常に言えるとは限りません.AからBに至る間には,A→C→Bという影響もあれば,A→D→Bという影響もあります.C経由の影響の方が大きい時に言えることが,D経由の影響の方が大きくなった途端に逆転することもあります.このため,経済に習熟した人は,直接字面で話をすることをせずに,何らかの経済モデルを頭において,それを文章に翻訳して話をするのです.初学者が,経済についての論説を文字だけを追っていると混乱するのは当然であるとも言えます.経済の論説を読んだり聞いたりする際には,話者がどのような経済モデルを頭において話をしているかを推察しながら聞く必要があります.各科目の履修を通じて,経済モデルによる思考に習熟するように心がけてください.

担当科目一覧

⭕️ 学部                    ⭕️ 大学院
 マクロ経済学(2年次選択必修)         経済数理分析
 ファイナンス                  研究指導
 専門演習(3年生・4年生)           論文指導
 卒業研究

主な講義科目

⭕️ マクロ経済学(2年次選択必修)
 経済全体の動きに焦点を当て、国民所得や物価などが長短期的にそれぞれどのように決まるか、景気循環や経済成長がどうして起こるのか、政府が行う政策が経済にどのような影響を及ぼすか、などを考察する。この講義は、ミクロ経済学、統計・計量経済学とともに、経済学の根幹をなす科目である。

⭕️ ファイナンス
 企業活動には、工場や機械・土地などの固定資本のほか、運転資金などの流動資本が必要である。企業は、その資金調達を行うために各種金融証券を発行する。これらを元に、企業は、個別の技術や知識を用いて生産を行うが、その売り上げが良好か否かは一般的に不確実であり、そのリスクは金融証券の保有者にも反映する。この講義では、それらの金融商品の理論価格の求め方を学ぶほか、企業の資金調達政策やリスク管理、最適な企業組織はどうあるべきか、などを考察する。
 この科目は、前期(ファイナンス1)は講義形式、後期(ファイナンス2)はゼミ討論形式で行います。後期は少人数で行うので、課題や発表などの負荷がかかります。十分認識して受講してください。

⭕️ 経済数理分析(大学院)
 時間要素のない静学と、時間が明示的に導入された動学の場合のそれぞれにおける最適化の手法を学ぶ。経済問題においては、各経済主体は、「均衡において」目的となる指標を最適化しているものと考えられている。例えば、もし利潤を最大化していない企業が存在したとすると、この企業よりも高い利潤を上げる企業が参入してくれば、元の企業は経済から駆逐されてしまう。すなわち、利潤を最大化していない企業が存在する状態は不安定であり、撹乱要因の少ない理想的な状態では簡単に消滅してしまう。こうして経済の安定的な状態は、最適化問題として叙述されることになる。この講義は、その解法を学ぶものである。

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