学部長挨拶

明星大学経済学部長 横田 宏治

本学経済学部を
志望する諸氏へ

人類は産業革命を経て高度な経済社会を築くに至りました。これから世に出ようとするみなさんは、先人たちが築き上げた、この高度に発展した社会の中で生きていくことになるでしょう。この社会では、おそらくほとんどすべての人が、他の人々と協働して生きていくことになります。そのような社会の中で、あなたが他の人々と何事かを行おうとすれば、単にその意思を共有するだけでなく、その成功について、あなたが持っている確信と同じ確信を他の人々と共有できなければ、人々はともに歩んではくれないでしょう。

物事が一人では完結しないとき、人々を説得するという新たな課題が現れます。説得する相手は、あなたの上司かもしれませんし、なかなか予算を出してくれない他の部署かもしれません。あるいは営業に訪れた先の顧客かもしれませんし、製品をともに造ることになるサプライヤーかもしれません。あなたの人柄と情熱が、提案を受け入れてもらうための最後の一押しになることはありますが、それだけでは人々を納得させることはできません。必要なのは、あなたの提案の合理性を客観的に示すことです。
多くの場合、データを用いて語ることが客観性を担保するのに有効です。それらを説得的に構成して論を立てなくてはなりません。これらのことを成し遂げるのに、経済学の素養は役立つことでしょう。経済学に裏付けされた、あなたの社会に対する深い教養と人柄が、相手の信頼を受けることになることも、ひょっとしたらあるかもしれません。

経済学に裏付けされた

深い教養と人柄

そして客観性が

相手の信頼を受けることになる

実践躬行の伝統を受け継ぎ

素養知識能力を身につける

明星大学経済学部は、本学の実践躬行の伝統を受け継ぎ、卒業生のほとんどが実社会で必要とされることとなる上記のような素養と知識、能力を、頭で理解するだけでなく実際に身につけて送り出すことができるよう、一貫して教育を行ってきました。今日では、すべての学生はデータ処理教育を受け、卒業論文を通じて客観的文書の作成と長い論文を組み立てるためのプランニングと実践を経験します。ビッグデータの普及に伴って、データ処理教育がさまざまな場所で行われるようになっていますが、これを経済学部で習うことには特別な意味があります。いくらデータ分析の技術を身につけていても、その分析を適用する仮説が間違っていれば、意味を持たないことがよくあるのです。経済学を学ぶことによって、はじめてその仮説の妥当性を判断するだけの素養と知識も身につけることができます。
明星大学は、その母体となる明星実務学校が設立されてから、2023年で100年目を迎えます。これまで、東京都多摩地域で企業を率いている経営者を多く輩出するなど,多くの人材を世に送り出してきました。諸先輩方に続く志の高い諸氏を、関東平野を一望できるこのうつくしい多摩丘陵に迎え入れることができることを待ち望んでいます。

2023年5月
明星大学経済学部長 横田 宏治